東大宮にある駅前通り動物病院では、日々猫ちゃんの膀胱炎の治療を行っています。ごく軽度の膀胱炎から重度の膀胱炎まで様々な膀胱炎をみてきました。
そんな猫の膀胱炎ですが、90%以上の膀胱炎はスムーズに治療が終了しますが、10%ほどの膀胱炎で治療に手を焼く膀胱炎の猫ちゃんに出会います。
そこで今回は、難治性膀胱炎、特に特発性膀胱炎の治療について獣医師の立場から解説していきます。
猫の膀胱炎の症状は?
まずはじめに猫の膀胱炎の症状から解説します。下記の症状で当てはまるものがあれば、膀胱炎かもしれませんので、動物病院を受診してくださいね!!
・頻尿
➡トイレに入る回数が異常に増える
・血尿
➡おしっこに血が混じる、排尿後に血がポタポタたれる
・有痛性排尿困難
➡排尿時に大きな鳴き声を上げる
・尿失禁
➡トイレに間に合わずにおしっこを漏らしてしまう
・不適切排尿
➡トイレ以外のところで排尿してしまう
猫ちゃんの膀胱炎の症状自体は比較的わかりやすいかと思います。ただ、すごく重要なことが一つあります。
それは、尿道閉塞しているかどうかです。
女の子の場合、尿道閉塞することはほぼありません。しかし、男の子場合、女の子に比べて尿道が極めて細いため、尿道閉塞してしまうリスクがあります。
尿道閉塞は命に関わる状態ですので、おしっこが出ているかどうかは絶対に見落とさないでください。
猫の膀胱炎の原因は?
以下に猫の膀胱炎の原因を列挙しておきます。ざっくりですが、獣医師としての経験上、女の子の場合は細菌が多く、男の子の場合は特発性が多いです。
・細菌感染
➡陰部からばい菌が尿道を通って膀胱内に入り込む
・尿石症
➡膀胱結石等が膀胱内でつくられる
・特発性
➡細菌や尿石症など膀胱炎を起こしうる原因を排除して診断
上記の上2つは、診断さえ間違わなければ、確実に治療することができます。細菌感染が原因であれば、適切な抗生剤を使用することで膀胱炎は治癒します。
尿石症の場合、ストラバイトであれば、処方食で溶かして治療できますし、シュウ酸カルシウムであれば石を摘出すれば治癒します。
一番厄介なのが、この特発性です。特発性=原因不明であり、多くの専門家がストレスが原因ではないかと推測しています。
この特発性膀胱炎ですが、投薬治療をしなくても治る軽度のものから痛み止め等にまったく反応しない重度のものまであります。
難治性膀胱炎に対する最終手段は?
特発性膀胱炎の一般的な治療方法を列挙しておきます。
・鎮痛剤
➡非ステロイド系消炎鎮痛剤、オピオイド、ステロイドなど
・抗不安薬
➡ジルケーンや、三環系抗うつ薬など
・膀胱炎用療法食
➡ストレス軽減を目的としたトリプトファンなどが含有
・膀胱過剰収縮抑制剤
ちなみに特発性膀胱炎の一番の症状は痛みですので、鎮痛剤は必要です。
先生!!
鎮痛剤内服しているのにうちの子の膀胱炎が改善しません!!
血がポタポタしていて痛そうです!!
なんとかして下さい!!
わかりました。
3日間を目安に毎日水分の注射をしてみましょう。
皮下点滴といって、5分くらいで終わりますので、頑張りましょうね!!
3日後・・・
先生!!
おしっこ普通になりました!!
おお!
良かったです。
膀胱炎としては重症でしたので、再発に注意しましょうね!!
しかし、これらの治療を行っても頻尿、血尿が改善されない子がいます。そのような重度の膀胱炎の子の場合、私は、3日間程度の皮下点滴(水分の注射)を実施しています。
この皮下点滴を実施すると、お水をたくさん飲んだ時と同じ効果が得られ、排尿量が増加します。おしっこを薄めることで、膀胱を洗い流すような効果が得られます。
そのため、痛み止めを使っていても膀胱炎が改善しない子には、ぜひ3日間程度の皮下点滴を試してみて下さい。
私の獣医師としての経験上、最長5日間くらい皮下点滴を実施した子がいますが、無事に膀胱炎が落ち着きました。
膀胱炎なのに、毎日病院に通わないといけないのかと思われるかもしれませんが、痛みで症状がさらに悪化するよりも猫ちゃんにとっては膀胱炎を改善させる方が、重要ですのでご理解下さいませ。
膀胱炎が治ったらやること
一度膀胱炎を起こすと再発のリスクがあります。そのため、膀胱炎が治ったらもう2度と膀胱炎を起こさないように対策をする必要があります。
・トイレの数は猫の頭数+1
・色々なタイプのトイレの形、砂を試してみる
➡一般的に、体がすっぽり入る大きさで、壁で囲まれているものを好む子が多い。砂は細かい方がいい?
・トイレはとにかくこまめに掃除!
・トリプトファンなど、ストレス軽減させる成分が入っている療法食にしてみる
・飲水量を増やす工夫を!!
➡ウォーターファウンテンなど循環式の水飲み場の設置、ウェットフードなど
などの対策をすることを推奨しています。
ちなみに特発性ではない場合、例えば細菌感染による単純性膀胱炎であれば、そこまで気にしなくても大丈夫です。ただし、いずれの膀胱炎の場合でも、飲水量を増やす工夫はしましょう!!
ウェットフードを取り入れるのも一つですね!!
駅前通り動物病院では医療機器を完備
血液検査機器
各種血液検査機器を完備しているため、院内で血液検査を実施できます。15分前後で結果がでるため、スムーズに治療に移ることができます。
デジタルレントゲン検査機器
デジタルレントゲンシステムを導入しているため、撮影からデータの描出まで、数分で終わるため、スムーズに治療に移行することができます。
歯科用デジタルレントゲン装置
2022年の秋に新たに歯科用デジタルレントゲンを導入しました。増加する歯周病の治療成績をより向上させるために、また客観的な情報を提供するために役立ちます。
高性能サージカルルーペ
歯周病治療などの際に、徹底的な歯周ポケットの洗浄、歯石除去やより質の高い治療を実現するために2022年10月に導入。
超音波検査機器
超音波検査により、お腹の中の臓器を評価したり、心臓の構造・機能を評価したりすることができます。プローブを当てるだけなので、痛みもなく動物たちのストレスを最小限に検査ができます。
内視鏡装置
猫の場合、内視鏡は全身麻酔をかける必要があります。しかし、お腹を開けることなく、食道、胃の中、十二指腸などを観察することが可能です。また、鼻の中や、喉の奥も観察することが可能です。
歯科用ユニット
3歳以上の猫の70-80%が歯周病と言われています。そのような背景の中、当院では歯周病の治療に力を入れています。より短時間で歯周病治療を実施できるように歯科用ユニットを導入しています。
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診療時間・休診日
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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